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【2020年改正】民法が変わりました その5 約款取引の明文化

目次


【1.賃貸借契約】
・敷金は原則返還。(ただし、未払い賃料との相殺は可能)
・アパート退去時の原状回復について、通常損耗や経年変化は大家側負担に。
・賃貸借の存続期間の上限が20年→50年に。

【2.法定利率】
・年5%→年3%に。(3年ごとに見直しあり)

【3.消滅時効】
・知ったときから5年、または、行使可能時期から10年。

【4.意思能力の明文化】
・判断能力のない状態の者が行った法律行為は無効であることが明文化。

【5.約款取引の明文化】
・大量同種取引に利用される利用規約を定型約款と位置づけ、消費者が表示を受けた場合、定型約款の内容についても合意したものとみなされる。

【6.個人保証人保護規定の拡充】
・極度額のない根保証は無効。
・個人が事業用融資の保証人になる場合、公証人による意思確認手続が必要に。

 

 

その5.約款取引の明文化



条文が新設され、定型約款の定義、約款を用いた契約時のルールの明確化がなされることに。(【民法548条の2】~【民法548条の4】)


 

『定型約款』とは?




保険約款、宿泊約款、インターネットサイト利用約款などのように、企業がたくさんの消費者と効率的に取引を行うため、あらかじめ準備した「定型の規約や契約書」のことを指します。

昨今では定型約款を用いた取引はごく普通に行われていますが、実のところ、これまでの民法には定型約款に関する特段の規定がなく、法的に不安定な立場にありました。たとえば、当事者が契約内容を認識しなければ、その契約に拘束されないのが民法の原則です。しかしながら、実際には内容を細部まで把握しないまま契約するケースは少なくありません。

そこで、今回の改正によって以下4つのポイントが示されました。

 

①定型約款を契約の内容とすることが明確に表示されたうえで、それに合意すると、個別の条項についても合意したものとみなされる。


②ただし、一方的に利益を害するような条項(不当な抱き合わせ販売などの、いわゆる『不意打ち条項』)については、みなし合意の対象外となる。


③規約の提示を拒まれた場合は、みなし合意は適用されない。


④規約中のある条項が法改正によって適合しなくなったなどのやむを得ない場合や、変更によって契約者の利益になると考えられる場合に限り、変更の周知をしたうえで、一方的に規約を変更することができる。


 

【民法548条の2】
1. 定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。以下同じ。)を行うことの合意(次条において「定型取引合意」という。)をした者は、次に掲げる場合には、定型約款(定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう。以下同じ。)の個別の条項についても合意をしたものとみなす。
一 定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき。
二 定型約款を準備した者(以下「定型約款準備者」という。)があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき。
2.前項の規定にかかわらず、同項の条項のうち、相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして第一条第二項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をしなかったものとみなす。

【民法548条の3】
1.定型取引を行い、又は行おうとする定型約款準備者は、定型取引合意の前又は定型取引合意の後相当の期間内に相手方から請求があった場合には、遅滞なく、相当な方法でその定型約款の内容を示さなければならない。ただし、定型約款準備者が既に相手方に対して定型約款を記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供していたときは、この限りでない。
2.定型約款準備者が定型取引合意の前において前項の請求を拒んだときは、前条の規定は、適用しない。ただし、一時的な通信障害が発生した場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。

【民法548条の4】
1.定型約款準備者は、次に掲げる場合には、定型約款の変更をすることにより、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし、個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができる。
一 定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合するとき。
二 定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、この条の規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。
2.定型約款準備者は、前項の規定による定型約款の変更をするときは、その効力発生時期を定め、かつ、定型約款を変更する旨及び変更後の定型約款の内容並びにその効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法により周知しなければならない。
3.第一項第二号の規定による定型約款の変更は、前項の効力発生時期が到来するまでに同項の規定による周知をしなければ、その効力を生じない。
4.第五百四十八条の二第二項の規定は、第一項の規定による定型約款の変更については、適用しない。
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