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【2020年改正】民法が変わりました その6 個人保証人保護規定の拡充

目次


【1.賃貸借契約】
・敷金は原則返還。(ただし、未払い賃料との相殺は可能)
・アパート退去時の原状回復について、通常損耗や経年変化は大家側負担に。
・賃貸借の存続期間の上限が20年→50年に。

【2.法定利率】
・年5%→年3%に。(3年ごとに見直しあり)

【3.消滅時効】
・知ったときから5年、または、行使可能時期から10年。

【4.意思能力の明文化】
・判断能力のない状態の者が行った法律行為は無効であることが明文化。

【5.約款取引の明文化】
・大量同種取引に利用される利用規約を定型約款と位置づけ、消費者が表示を受けた場合、定型約款の内容についても合意したものとみなされる。

【6.個人保証人保護規定の拡充】
・極度額のない根保証は無効。
・個人が事業用融資の保証人になる場合、公証人による意思確認手続が必要に。

 

 

その6.個人保証人保護規定の拡充



個人が根保証契約の保証人となるには、必ず極度額を定めなければならないことに。【民法465条の2】


個人が事業目的の資金の保証人になるためには、公正証書で契約を交わさなければならないことに。【民法465条の6】~【民法465条の10】


 

『根保証契約』とは?




一度の契約で、将来発生する一定範囲の債務すべてを保証をしなければならない契約のことをいいます。(家賃の保証人などが代表的な例です。)

改正前は、家賃の保証人などの一部の根保証契約については『極度額』(=上限)を定める必要がなく、保証額が青天井となっていました。そのため、当初の想定よりも多額の請求を迫られる恐れがありました。

今回の改正により、全ての根保証契約には極度額の設定が義務付けられました。

 

『事業資金に関する保証人保護』




会社の事業資金の借入などは通常、個人の借入よりも高額になることが予想されます。ところが、そのようなリスクを十分に承知しないまま会社の保証人となった第三者の個人が、想定以上の多額の請求を受ける恐れがありました。

改正後は、第三者の個人が事業資金の保証人になるためには、必ず公正証書で契約を結ばなければなりません。(あくまで「個人の第三者」が保証人となる場合の規定であり、債務者たる会社の社長や役員、あるいは共に事業を行うものが保証人となる場合には、公正証書の作成は不要です。)

 

 

(個人根保証契約の保証人の責任等)
【民法465条の2】
1.一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
2.個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
3.第四百四十六条第二項及び第三項の規定は、個人根保証契約における第一項に規定する極度額の定めについて準用する。

 

第三目 事業に係る債務についての保証契約の特則

(公正証書の作成と保証の効力)
【民法465条の6】
1.事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前一箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。
2.前項の公正証書を作成するには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 保証人になろうとする者が、次のイ又はロに掲げる契約の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事項を公証人に口授すること。
イ 保証契約(ロに掲げるものを除く。)
主たる債務の債権者及び債務者、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものの定めの有無及びその内容並びに主たる債務者がその債務を履行しないときには、その債務の全額について履行する意思(保証人になろうとする者が主たる債務者と連帯して債務を負担しようとするものである場合には、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者がその債務を履行することができるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思)を有していること。
ロ 根保証契約
主たる債務の債権者及び債務者、主たる債務の範囲、根保証契約における極度額、元本確定期日の定めの有無及びその内容並びに主たる債務者がその債務を履行しないときには、極度額の限度において元本確定期日又は第四百六十五条の四第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由その他の元本を確定すべき事由が生ずる時までに生ずべき主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものの全額について履行する意思(保証人になろうとする者が主たる債務者と連帯して債務を負担しようとするものである場合には、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者がその債務を履行することができるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思)を有していること。

二 公証人が、保証人になろうとする者の口述を筆記し、これを保証人になろうとする者に読み聞かせ、又は閲覧させること。
三 保証人になろうとする者が、筆記の正確なことを承認した後、署名し、印を押すこと。ただし、保証人になろうとする者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
四 公証人が、その証書は前三号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
3 前二項の規定は、保証人になろうとする者が法人である場合には、適用しない。

(公正証書の作成と保証の効力に関する規定の適用除外)
【民法465条の9】
1.前三条の規定は、保証人になろうとする者が次に掲げる者である保証契約については、適用しない。
一 主たる債務者が法人である場合のその理事、取締役、執行役又はこれらに準ずる者
二 主たる債務者が法人である場合の次に掲げる者
イ 主たる債務者の総株主の議決権(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除く。以下この号において同じ。)の過半数を有する者
ロ 主たる債務者の総株主の議決権の過半数を他の株式会社が有する場合における当該他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者
ハ 主たる債務者の総株主の議決権の過半数を他の株式会社及び当該他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者が有する場合における当該他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者
ニ 株式会社以外の法人が主たる債務者である場合におけるイ、ロ又はハに掲げる者に準ずる者
三 主たる債務者(法人であるものを除く。以下この号において同じ。)と共同して事業を行う者又は主たる債務者が行う事業に現に従事している主たる債務者の配偶者

(契約締結時の情報の提供義務)
【民法465条の10】
1.主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証又は主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証の委託をするときは、委託を受ける者に対し、次に掲げる事項に関する情報を提供しなければならない。
一 財産及び収支の状況
二 主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況
三 主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容
2.主たる債務者が前項各号に掲げる事項に関して情報を提供せず、又は事実と異なる情報を提供したために委託を受けた者がその事項について誤認をし、それによって保証契約の申込み又はその承諾の意思表示をした場合において、主たる債務者がその事項に関して情報を提供せず又は事実と異なる情報を提供したことを債権者が知り又は知ることができたときは、保証人は、保証契約を取り消すことができる。
3.前二項の規定は、保証をする者が法人である場合には、適用しない。
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