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【2020年改正】民法が変わりました その3 消滅時効


目次


【1.賃貸借契約】
・敷金は原則返還。(ただし、未払い賃料との相殺は可能)
・アパート退去時の原状回復について、通常損耗や経年変化は大家側負担に。
・賃貸借の存続期間の上限が20年→50年に。

【2.法定利率】
・年5%→年3%に。(3年ごとに見直しあり)

【3.消滅時効】
・知ったときから5年、または、行使可能時期から10年。

【4.意思能力の明文化】
・判断能力のない状態の者が行った法律行為は無効であることが明文化。

【5.約款取引の明文化】
・大量同種取引に利用される利用規約を定型約款と位置づけ、消費者が表示を受けた場合、定型約款の内容についても合意したものとみなされる。

【6.個人保証人保護規定の拡充】
・極度額のない根保証は無効。
・個人が事業用融資の保証人になる場合、公証人による意思確認手続が必要に。

 

 

2.消滅時効の期間


(旧)権利を行使できる時から10年 


(新)権利を行使できることを知った時から5年、または行使できる時から10年【民法166条】


 

『消滅時効』とは?




金銭消費貸借のような債権について、一定期間請求等がない状態が続くと、債務者側で権利の消滅を主張することが出来ます。これが『消滅時効』という制度です。

この制度は、過去の出来事を蒸し返してトラブルになることを防ぐためにあります。たとえば20年以上も前に返し終えた借金があったとして、いまさら「あの時のお金をまだもらっていない」などと言われてしまうと、証拠となる書類をすでに処分していたりと、証明が非常に困難になることが予想されます。

 

5年か10年で消滅時効完成




これまで消滅時効完成までの期間は民事10年・商事5年(短期消滅時効を除く)とされてきましたが、今回の改正から一律で『権利を行使できることを知った時から5年、知らなかったとしても行使できるときから10年』という期間に変更されることになりました。

「権利を行使できる時」とは、例えば金銭消費貸借であれば弁済期(返済期日)の到来を指します。今後は5年か10年のいずれか早いほうが経過した時点で時効となりますが、一般的な金銭消費貸借の場合、弁済期が不明という状況は考えにくいため、消滅時効完成までの期間は事実上短縮されたといえるでしょう。

では、権利を行使できる時と知った時にずれが生まれるのはどのような場面でしょうか?具体例としては、『過払金返還請求権』のように、そもそも自分に過払金があることを知らない状況などが挙げられます。たとえば、過払金が発生してから7年後にその存在に気付いたとすると、残り3年で合計10年が経過し、消滅時効完成となります。(気付いた時からさらに5年ではなく、たとえ知らなくても“行使できるときから10年経過で時効”となるので注意が必要です。)

 

【民法166条】
1.債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
2.債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
3.前二項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を更新するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。
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